2022.07.06日本酒のプロ向けお役立ちコラム
日本酒の辛口・甘口の特徴と、長野県の酒造が造る話題の辛口をご紹介します!
自然豊かな長野県で造る、辛口日本酒とは?おすすめ3選!
日本酒には辛口・甘口という区分があります!しかし、何が甘口でどの基準が辛口なのかなど知らない方が多いと思います!
今回は辛口・甘口の基準やそのためのラベルの見方やおすすめの辛口日本酒を紹介します。
日本酒度について
日本酒度とは、日本酒の辛さ・甘さの目安となる数値のことですが、あくまで目安で日本酒度だけで決まるわけではありません。
一般的に日本酒度が-1.4~+1.4を中庸として、それより日本酒度が小さいものを甘口、大きいものが辛口だと言われています。
甘い・辛いの指標となる日本酒度ですが糖分の含有量などを示す数値ではなく日本酒度とは酒の比重のことです。
ではなぜ酒の比重が甘さや辛さに関係するのかと言いますと、それはアルコールの発酵プロセスに答えがあります!酒の発酵時、酵母が糖を分解してアルコールに変えていきます。そして糖は水より重く、アルコールは水より軽い物質です。なので、発酵が進むと日本酒の比重は小さくなります。
もともと日本酒度とは製造過程における発酵の進み具合を測る指標となります。
日本酒度が大きいお酒は小さいお酒に比べてより多くのアルコールが造られているといえます。アルコールが多いということは糖がたくさん分解されて日本酒の比重が小さいと言えます。糖が多く分解され比重が小さいということは、甘みが少ないという、つまり辛口になります。
以上のことから日本酒度は甘さ・辛さを表す指標の1つになります。
辛口・甘口に影響を与える他の要素
日本酒の甘口・辛口を決めるのは日本酒度だけでないと先ほどお伝えしましたが、辛口を表す表現として「キレ」という言葉があります。
というのも、みなさんの「辛口」という表現には甘味が少ないという意味だけでなくキレが良いという意味も使われていると思います。
それではそのキレに繋がる甘口・辛口を表す要素を紹介します。
①酸度
他の要素として1つ目が酸度です。酸度が高い日本酒ほど辛口に感じると言われています。酸度とは文字通り日本酒の中にどのくらいの酸が含まれるかを意味する指標です。
一般的に日本酒の酸度は0.5~3.0程度に収まるのが一般的で1.4~1.6程度が中庸とされています。酸度がキレに繋がる。つまり、酸度が辛口に影響を与えるということです!
②苦味・渋味・ガス感
他の要素として2つ目は苦味・渋味・ガス感があります。
苦味・渋味・ガス感はいずれも刺激を与える要素のため、多いほど辛口に感じやすいと言われています。一方、甘みや旨味は味わいに滑らかさを与えます。刺激を与える要素が旨味や味わいを上回れば辛口に、旨味や味わいが刺激を与える要素を上回れば甘口に感じやすいということです!
日本酒度はあくまで目安ですが、指標として分かりやすいので日本酒度によってどのように風味や印象が違うのかぜひ実際に味わってみてください。
辛口・甘口 どちらが王道!
「日本酒の甘口・辛口どっちが好きですか?」と聞くと「辛口!」だと答える人が実際多く見られます。
ではなぜ辛口を好む人が多いのか。それは戦後に流通していた三増酒が主な原因ではないかと言われています。
三増酒とは米が不足していた時代に、清酒を仕込み発酵したもろみに醸造用のアルコール(純粋なアルコール)や糖をいれ文字取り3倍に伸ばしたお酒のことです。
味わいとしては口にしつこく残り、とても甘いです。
流通の拡大と米不足の時代にはやむを得なかったかもしれませんが、その粘っこい甘さに飽きて嗜好性の時代になり本来のお米と水で作られた余分な糖を無くした「辛口」が好まれるようになっていきました。
辛口・甘口は「淡麗」と「濃醇」に分けられる
日本酒における甘口・辛口はさらに「淡麗」「濃醇」に分けることができます。
以下では各味わいの特徴を記載しています。ぜひ参考にしてみてくださいね。
①甘口の日本酒
基本的に口当たりの良さと深いコクが特徴となっています。その特徴を分類するのが淡麗と濃醇です。以下のように分けていきます。
〈淡麗の甘口〉
「淡麗」とは、酒の味や口当たりがすっきりと滑らかな様子を表す表現です。
淡麗の甘口はすっきりとして飲み口でソフトな口当たりで甘めの銘柄が多いです。お酒が苦手な人でも飲むことができ、甘口ならではの深いコクを残します。同時に後味がスッキリしているので飲みやすいです。口に甘さが残らず、料理の味を邪魔せず、食べ合わせには抜群です。
特に塩気のある脂っこさのある天ぷら、唐揚げなどと相性がいいです。淡麗さが脂っこさを洗い流しリセットでき、食を進めてくれます。
〈濃醇の甘口〉
口当たりや味が濃厚でしっかりしている様子は「濃醇」と表現されます。
濃醇の甘口は甘口特有のコクをより複雑にしたイメージです。舌の上に重さを感じるような濃い味わいが広がります。強い香りを放っている銘柄が多いのも特徴です。人によっては洋酒に近い味と感じるかもしれません。
濃醇の甘口はお酒自体が強いため、濃い味付けの料理にあわせやすいです。チョコレートやチーズ系のおやつ、すき焼きなどの肉料理と一緒にいただくといいでしょう。口の中に豊かに広がる風味、ボリュームのある旨味と香り立つ甘味を味わいたい方はぜひおすすめです。
②辛口の味わい
辛口の日本酒はのど越しの爽快さ、日本酒独特のクセを味わえる銘柄が多いです。飲みやすさをどうアレンジするかによって淡麗、濃醇に分かれていきます。
〈淡麗の辛口〉
淡麗の辛口は日本酒特有のクセを抑え、万人向けに仕上がっているのが特徴。通常の辛口よりも飲み口が柔らかくなったものが多いです。しかし、喉を通るときはこれぞ辛口といえるキレを感じさせます。すっきりと、且つキリっとした辛口の風味が好みの方は、「淡麗辛口」の日本酒をおすすめします。
定番のおつまみは魚介料理や珍味などです。例えば、塩じゃけなどさっぱりした料理や塩辛などとてもよく合います。豊かな米の風味は磯の香りと相性がよく、軽く飲みたいときにぴったりです。
〈濃醇の辛口〉
濃醇の辛口はガツンとくる刺激があります。飲んだ瞬間から米の豊かなコクを感じる強い味わい。玄人が好む日本酒といった存在です。クセが強すぎて飲めないこともありますが、慣れてくれば原料の味をしっかり感じられます。
濃醇の辛口は味が濃いため、同じくクセの強い漬物のようなアテが最適。通の飲み方をしたい人におすすめです。
コクのある辛口の「濃醇辛口」には、同じくコクがあって塩気のあるぬか漬けなどがよく合いますね。
長野県の酒蔵 亀田屋酒造店のおすすめ辛口日本酒
そろそろ辛口を飲んでみたい!と思う人もいるのではないでしょうか。
そんな方には今回紹介する日本酒がおすすめです!
長野の大自然があるからこそ作れる美味しい水で造った辛口の日本酒をご堪能下さい!
亀乃世 ロック原酒 720ml 【やや辛口】
価格1200円(税込)
暑い夏にぴったりの「ロック原酒」です。
アルコール度数が高いので、グラスの中で氷が少しずつ溶けても味わいやコクが負けません。
むしろ、喉ごしが良くなってお酒がどんどん進みます。
オンザロックで氷を溶かしながら、コクと濃醇な味わいをお楽しみください。
カクテルベースとしても活用できるので、カシスやライムを加えておしゃれなカクテルとしても楽しめる長野の地酒です。
▼詳細はこちら▼
大吟醸生原酒 雫 720ml 【やや辛口】
価格6600円(税込)
昨年まで“酒米の王様”とも呼ばれる兵庫県産山田錦を使用していた大吟醸を、今シーズンの造りから信州松本産の山田錦を使用して醸しました。
地酒を造る酒蔵として「地元にこだわり地元に愛されるお酒」を目指し、この山田錦を県内産にすることで“使用米全量長野県産”と誇りをもって言えることを非常に嬉しく思います。
造りはもちろん従来通りにこだわり、手洗いによる洗米から搾る際の吊るし搾りまで、まさに長野の蔵人の技術の粋を集めて醸しました。
この「雫酒」は、搾る際に醪を入れた酒袋を吊るし、圧力を加えず自然に滴り落ちる“雫”だけを集めた地酒です。
溢れ出る華やかな香りと雑味のない豊かな味わいは、まさに珠玉の逸品と言えるでしょう。
一般の店頭には流通しない超限定品をぜひその手に。
▼詳しくはこちら▼
亀乃世 辛口 720ml 【辛口】
価格947円(税込)
“辛口”とはいえただ辛いだけではなく旨味を引き出す造りをしているので、口に含んだ際にお米の旨味を感じながらキレのある辛さを楽しめる地酒です。
冷で良し、燗で良し、いろいろな料理と相性が良く、毎日楽しめるテーブル酒。
全国燗酒コンテスト2016、2018で金賞受賞。
▼詳しくはこちら▼
まとめ
日本酒のラベルにある辛口・甘口を表す指標としてある日本酒度。まずこれを知っておけばラベルから甘辛度をイメージでき好みの銘柄を見つけやすくなるでしょう。
日本酒は上記で記述したようにさまざまな要素が絡んで辛口にも甘口にもなる非常におもしろいお酒です。
似たような日本酒度や酸度でも風味や印象は大きく違います!
ぜひ今日ご紹介した日本酒度・酸度・淡麗・濃醇からあなたに合う好みの日本酒を見つけましょう。また吟醸・大吟醸・純米吟醸・純米など日本酒は他にも分けることが出来ます!奥深い酒ですよね。
またあなたに合う日本酒を見つけたら酒造も調べてみるといいかもしれませんね!